歯の健康

 健康経営等で「アブセンティーイズム」や「プレゼンティーイズム」等で働く方のパフォーマンスの状況を表す指標が言われています。皆様も聞かれたことはあるかと思います。その中で、「プレゼンティーイズム」が注目されています。

 今回、歯科疾患との関係を調べたものがあり、歯周病のある人はない人より過去1年間のプレゼンティーイズムの発生が有意に多いことがわかったそうです。また、歯周病のある人はない人と比較して「プレゼンティーイズム」の発生リスクが約2倍高い結果となったそうです。歯周病は自覚症状が少なく治療に結びつきにくいこと、進行すると歯がぐらぐらして食いしばって力を出せないことや歯肉からの出血等で口臭が発生して周りを不快にしてしまう可能性もあります。これらが労働者のパフォーマンスへ影響して、結果生産性低下へ関係してくるようです。

 歯周病は、30歳以上の成人の約80%がかかっていると言われています。細菌の感染によっておこり、歯の周りの歯ぐき(歯肉)や、歯を支える骨などが溶けてしまう病気です。最後には歯を抜かなければならなくなってしまいます。

 現在では歯周病は、予防でき治療も可能です。セルフケアとしては、定期的な歯垢(歯に付着した細菌の塊)の除去と、日々の歯磨き、歯間清掃用具の使用、禁煙があります。

 歯磨きは皆さんされますが、意外に磨けていない人が多いようです。毛先に力を入れすぎず、軽く細かく動かして、1か所に10回~20回位丁寧に時間をかけて磨くようにしましょう。忙しい方は1日1回、寝る前でいいので、5分程度ゆっくり丁寧に磨くと効果的です。日々のメンテナンスを心がけましょう。

腰痛

 腰痛は、生涯有訴率は8割以上、業務上疾病の占める割合でも最も多く、全体の約6割を占めていてとても身近な症状です。ぎっくり腰のように突然起きるものや、徐々に症状が現れてきっかけが特に見当たらないこともあります。再発を繰り返しやすいこともわかっています。 腰痛には、物理的な身体への負担により起こるもの(持ち上げや前かがみ等の不自然な姿勢等)と、心理的なストレス(周囲のサポート不足、人間関係のストレス、痛みへの強い不安等)から起こるものがあります。

 物理的な負担に対しては、日頃から自分でも腰に負担がかからない姿勢等を心掛けることは大切です。

 心理的なストレスは、快感や痛みを抑えるのに重要な役割を果たしているドーパミンやセロトニンの分泌を低下させてしまいます。脳の機能に不具合が起きて、ストレス反応として腰痛が現れてしまうこともあります。要因となっているもの(仕事や人間関係等)で対策が可能なものがあれば対応してみましょう。

 いずれにしても、軽い運動をしてみたり、ストレッチや体操等の手軽にできることをやってみましょう。ウェーキング等の全身の有酸素運動や筋トレは鎮痛作用も期待できます。ただ、じっとしていてもあるいは痛み止めを使っても痛かったり、原因不明の熱が出たり、寝ていても痛みで目が覚める等がある場合は、自己判断せず必ず医療機関を受診してください。

 腰痛があるなしに関わらず、大事な腰をしっかり日頃からケアしてあげましょう。

これからの介護への準備

 皆さんの周りに、介護をされている方、介護のために離職された方はいらっしゃいますか。労働者の約7割が将来の介護への不安や危機感を感じているとあります。年間約10万人が介護離職を余儀なくされています。ちなみに介護離職者で最も多い年代は50歳代、次いで40歳代との調査結果もあります。また、介護疲労に伴うプレゼンティーズムについての調査によると、介護による肉体疲労やストレスを感じている人はそうでない人と比較して、仕事中の居眠りやイライラ、気分の落ち込み、ヒヤリハットを経験している割合が高いとの結果もあるようです。

介護は他人事ではなく、すべての従業員が当事者となる可能性がありますし、起こってからでは対応が後手に回り、介護する側される側ともに辛い状況になってしまうことがあります。そうならないためにも日頃から職場でも話せる環境づくりは大切になってきます。そして、介護は経過も状況も個別性が高いものですので、アドバイス等する際は自分の経験を押し付けない配慮も必要になります。

「自分の親はまだまだ介護は関係ない!」、逆に「全部自分がやらなければ!」「仕事を辞めて介護に専念しなければ!」等の誤った誤解もあります。当事者になると余裕がなくなり難しいことですが、一人で抱え込まず周りに話したり相談することです。介護のプロは、「介護のためにどうしても仕事を辞めなければいけないケースは1件もない!」と言っています。厚労省からも「仕事と介護の両立支援ガイド」として、わかりやすく情報が提供されていますので是非活用してみましょう。

自分の大切な人生や生活を守りながら、できることを行っていければと思っています。

コロナと花粉症

2月に入り、花粉の飛散がスタートしました。飛散量は昨年より多い予想になっています。コロナと花粉症の症状は見分けがつきにくい所もあります。私も花粉症で目のかゆみを感じていますが、昨年より症状が出ている気がしています。皆様は大丈夫でしょうか。

花粉症の症状と言えば、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみです。花粉症の鼻水は、透明でサラサラですが、コロナや風邪等の感染症だと途中から粘り気が出て黄色っぽくなります。

症状では、コロナとの区別が難しい面もあると言われていますが、比較してみると違う部分があります。花粉症では、「発熱」「息切れ」「悪寒」はありませんが、コロナでは頻繁にあります。また、花粉症では、「くしゃみ」は頻繁ですが、コロナでは稀です。花粉症では、「鼻詰まり」「目のかゆみ」はありますが、コロナではありません。このあたりの症状の違いも押さえておくといいですね。それから花粉症の特徴でもありますが、晴天時に悪化したり、症状は長く続きます。

コロナ対策で皆さんも十分やっていることですが、マスクや眼鏡、うがい、手洗い、洗顔等は花粉症対策でもありますので引き続きしっかり行っていきましょう。それから風邪をひかないように気を付ける、お酒は飲み過ぎないこと、タバコは控える、バランスのよい食生活等は大切です。

花粉症の人もそうでない人もこれからの季節はさらに体と環境を整えていきましょう。

これからの健康管理

 副業、兼業という言葉は、働き方改革とともに耳にするようになってきました。厚労省も「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を出しています。ただ、実際には行っている人はまだそれほど多くはないように思っています。労働者にも企業側にもメリット、デメリットはあるのでそれらを十分理解した上で、行っていくことになります。

 個人的にはオンライン面談も当初は現場で取り入れるのは難しいと言われていましたが、今はかなり浸透してきていることや、在宅での仕事も環境や取り組みの改善が重ねられて、それほど抵抗がなくなってきています。それらを考えると、副業・兼業もこれから進んでいくことが考えられます。
  ガイドラインでは、使用者は労働者に対して、健康保持のため自己管理を行うよう指示したり、心身の不調があれば都度相談を受けることを伝えたり、副業・兼業の状況も踏まえ必要に応じ法律を超える健康確保措置を実施する等が重要とうたっています。
 これからも変わらず求められてくることは、「自分の健康は自分で守る!」セルフケアが大切なのだと思います。労働者自身が本業と副業の労働時間とともに健康状態を管理できる便利なツールを利用しながら、視覚的に自分の状態をチェックすること、働く際のベースとなる日頃からの食事、休養(睡眠)、運動の3本柱はしっかり保つことです。さらに、心の面(考え方やコミュニケーション力、自分なりのキャリアの確立等)へのケアや軌道修正ができるスキルや実行力はこれからますます求められてくると思っています。まだどういう形がいいのかよくわからないですが、今年も企業ができる健康管理へのアプローチとともに、労働者自身が自分で健康管理を行うという意識をしっかり持ち実行してもらえるように関わっていきたいと思っています。

女性が活き活き働くために

職場で活躍している女性はたくさんいます。女性が活き活きと働き続けてもらうために、
これからますます取り組みは進むと思われますが、そのひとつとして、国は少子化対策として
不妊治療の保健適用の検討も始めています。

女性の健康は、女性ホルモンの影響が大きく、生涯の中で月経、妊娠、出産、更年期等、様々な変化があります。また、働く女性が増えている中、結婚や出産を選択されない方もいて、この状況は女性ホルモンの影響を受ける期間が増え、中には女性特有の病気につながってしまう方もいます。今後は女性特有の健康課題や女性を取り巻く職場環境の整備が重要となってきます。

日々の活動の中で若い女性の面談をしていると、女性の体についての知識があまりにも少ないことに驚くことがあります。さらに、婦人科受診のハードルがかなり高いようですし、忙しい毎日で受診の時間が取りにくかったり、費用的なことも医療につながらない要因の一つになっているようです。

その結果、悩みながらも何もせずそのまま様子をみている方も多く、日々のモチベーションも上がらないままだったり、必要以上に落ち込んでしまい、不安を抱えてながら業務をこなしているので、最終的にはパフォーマンスにまで影響している状況も見られます。 会社として受診しやすい環境や費用負担等の制度づくりとともに、正しい知識を学べる教育機会を提供していくことも必要です。研修を年代ごとにわけて行ってもいいかもしれません。あるいはテーマを変えながら、繰り返し情報提供を行ってもいいと思います。内容に応じて講義やe-ラーニング形式やグループワークを入れる等、提供の仕方も工夫してみるといいと思います。勿論、男性にも女性の健康についての正しい知識と関心を持っていただくことも必要です。

コロナ禍で太る背景

松島弘典は年内お休みします。

テレワークを導入する企業が増え、在宅時間が増えた人も多くなっています。通勤時間がなくなり、ある意味リラックスした環境の中で働けるメリットを感じている反面、生活習慣が乱れて運動不足を感じている人もいるようです。 一般社団法人生活習慣病予防協会によると、自宅から職場までの移動の身体活動を消費エネルギーに換算すると、約300kcal、これに職場内での移動や休憩、昼食時の移動を含めると消費エネルギーは、約400kcalを超えるとのことです。

それに対して身体活動が自宅だけの場合は、1日のエネルギー消費量は約50kcal、通勤していた時と比べると350kcalもの差があります。この差が1週間で体重にすると約1kgです。その他自宅では、甘い飲み物やお菓子、果物等の間食を食べる機会も増えがちで、わずか1カ月で約3kgの体重増加の可能性があるのです。

さらに厚労省の「国民健康栄養調査」によると、運動習慣改善の意思について、「関心はあるが改善するつもりはない」と回答した割合が最も高い結果でした。運動習慣の妨げとなる点は、男女とも「仕事(家事・育児等)が忙しくて時間がないこと」の回答割合が高く、続いて「面倒くさいこと」が続いています。これではコロナ渦でも太るのも納得です。

職場でも最近は立って会議をしたり、デスクワークの合間にその場に立ち上がってストレッチを行っている所もあります。その他ラジオ体操を入れたり、歩数をチームで競うイベントを開催して、職場のコミュニケーションの場として活気が出ている企業もあります。無理せず長くできる運動を工夫してみましょう。

脳・心臓疾患

20年ぶりに「脳・心臓疾患の労災認定基準の改正」がありました。    ①長期間の過重業務の評価にあたり、労働時間と労働時間以外の負荷要因を総合評価して労災認定することを明確化した。②長期間の過重業務、短期間の過重業務の労働時間以外の負荷要因を見直した。③短期間の過重業務、異常な出来事の業務と発症との関連性が強いと判断できる場合を明確化した。④対象疾病に「重篤な心不全」を新たに追加したとなっています。

また、令和2年度「過労死等の労災補償状況」では、脳・心臓疾患の労災補償状況の請求件数、支給決定件数はともに前年度に比べて減っていましたが、年齢別にみると40代に入ると急激な人数増加があります。いかに若いうちから健診データの変化とともに、生活習慣改善の重要性を意識してよい生活習慣行動に移していくかが重要であるのを感じます。

50代に入り脳・心臓疾患を発症された方達の健診データをさかのぼりますと、30代後半あたりから肥満が始まり、コレステロールや肝機能の所見が出始め、高血圧や高血糖と徐々に進んでいる傾向がわかります。これは不規則な生活習慣をそのままにしておけば誰でも例外ではないことですが、なかなか気づきや意識を変え行動変容までは難しい方が多い現状もあります。

企業として職場環境を整えると同時に、従業員への意識改善への情報提供や働きかけも必要です。まずは、ご自身の健診データを経年的に見てみましょう。今の生活習慣は脳・心臓疾患の原因となっていませんか?

 

コロナ禍でのメンタルヘルス

厚労省の令和2年「労働安全衛生調査(実態調査)」では、現在の仕事や職業生活に関することで、強い不安やストレスになっていると感じる事柄がある労働者の割合は、54.2%でした。 現在自分の仕事や職業生活でのストレスについて相談できる人がいる労働者の割合は、90.8%で、相談できる相手(複数回答)でみると、「家族・友人」が78.5%「上司・同僚」が73.8%でした。男女別で、実際に相談した労働者の割合は、「家族・友人」は、男性66.8%、女性81%、「上司・同僚」は、男性74%、女性60.5%とあり、男性は「家族・友人」より「上司・同僚」に、女性は「家族・友人」に実際には相談している結果でした。

はたらく人の幸せに関する調査結果(パーソナル総合研究所・慶応義塾大学)では、2020年2月と2021年2月を比較したところ、はたらく幸せの実感はほぼ変わらず、不幸せは減少していて、在宅勤務等のテレワーク実施をはじめ、コロナ禍における働き方の変化によって従来受けていた不快なストレスが軽減しているからだろうとありました。ただ、20代は、テレワーカーと出社者を比較したところ、テレワーカーの方がはたらく幸せの実感は低く、不幸せの実感は高いことが確認されたともありました。さらに、テレワーカーでも「自己抑圧因子(自分なんて)」「オーバーワーク因子(ヘトヘト)」「協働不全因子(職場バラバラ)」「疎外感因子(ひとりぼっち)」については、テレワーカーの方が高い傾向という結果も出ていました。

長く続いているコロナ禍による心身へのストレスは色々な影響が出ているようですが、

基本はセルフケア力で対応しておくことです。気持ちのコントロールが難しい時には、自分にとって好きなことや楽しいことをしてみましょう。体を動かすこと(ラジオ体操、ストレッチ、その場足ふみ等)はおすすめです。また、人とのリアルな交流ができない時には、オンラインや電話、手紙を書く等、自分から発信してみる機会を作って見ることもいいですね。

女性の健康課題

働く女性は労働人口の4割を超えており、女性の管理職も少しずつですが増えてきている状況です。勤務年数も伸び、出産年齢の上昇や生涯出産数減少、平均寿命が伸びる等、女性を取り巻く環境も大きく変わってきています。

今まではどちらかというと男性中心のメタボリックシンドロームや生活習慣病への対策でしたが、今後は女性従業員への健康支援も重要となってきています。

経済産業省の調査では、女性従業員の約5割が女性特有の健康課題により「勤務先で困った経験がある」、また、女性従業員の約4割が女性特有の健康課題などにより「職場で何かをあきらめなくてはならないと感じた経験がある」とありました。

女性の場合、男性とはやや異なった健康問題(骨粗しょう症・骨折、関節・筋肉の変形や弱化、認知症など、女性ホルモンに関連して起こりやすい問題)が多くあります。20代から30代女性の抱えている健康問題、50代以降の女性が抱えている健康問題等、それぞれのライフステージでの関わりの必要性を強く感じています。不調を感じながらもどう対応したらいいのか悩み、仕事のパフォーマンスも低下している状況が続いていることが多いです。職場としてできる取り組みは色々あると思いますが、まずは女性特有の健康課題や症状等に関する教育は必要だと思います。その他例えば、職場で少し横になれる環境があったり、相談しやすい窓口を設置したり、婦人科検診の重要性を啓発したり、婦人科検診受診率向上への取り組みや、柔軟な働き方ができる体制作り等も整えていくことが必要です。

また、女性に限らず、男性も女性の健康問題への関心を持ってもらうことも大切になります。