コロナ後

新型コロナの緊急事態宣言が解除され、どんなに3密の対策をしても避けられない事態も起こる可能性も考えていかないといけません。感染したらどうするはだいぶ浸透してきていると思いますが、発熱や風邪のような症状だけが出ている場合や濃厚接触者になった場合等、色々想定しておく必要があります。

各企業では、万が一感染者等が出た時にはどう動くのか、日頃はどう対応しておくのか等、現場や衛生委員会等でよく相談してルールを決め、従業員一人一人がしっかり理解して行動が継続できるよう準備を進めておきましょう。

日本産業衛生学会の「職域のための新型コロナウィルス感染症対策ガイド」に詳細に書かれていますので、是非こちらを参考にされるのもいいと思います。

心配なのが、差別と鬱積だと思います。報道でも初めの頃は少し差別の声や話が伝わってきていましたが、今では数は本当に少ないです。また、どこにもぶつけられない感情をコントロールすることが難しくなっている面も出てきますので、それを吐き出し受け止めるクッションの役割は社会の中で必要です。

リモートアクセスが普及して今は、人と人のつながりを確保するのにオンラインの活用が助けとなっています。私も4月からオンライン面談を開始していますが、個別面談は思っていたよりスムーズだなと思っています。反面、企業担当者やその関係者複数名でケースへの対応についての相談を受ける時によく感じているのは、皆さん表情がなかったり、一生懸命話されるがゆえにものすごく近くに写っていたり、相槌も何もなく反応されていなかったり・・・。相談を受けている私も威圧感を感じたり、話しにくさを感じたりすることも多いです。慣れていないので仕方がない面もありますが、オンラインの場合も少し距離感は保った方がいいですし、発言していなくても聞いていますよというメッセージは伝えてあげることは大切です。一人一人ができることを積み重ねて、全体として行動変容することも必要です。

改めてナイチンゲール

新型コロナでは、毎日感染のリスクと戦い頑張ってくれている医療職や病院関係者の方々に心から感謝を申し上げます。ナイチンゲールは誰でも知っているほど「白衣の天使」として有名ですが、具体的に何で有名になったかは意外と知られていません。実は彼女、感染症の制御の母と呼ばれ、医療衛生改革で著名になったのです。(かなり、統計にも詳しかった)

クリミア戦争に従事した際も、軍からも最初は歓迎されたわけではなかったのですが、その中でナイチンゲールは、どの部署の管轄でもなかったトイレ掃除に目をつけ、それを皮切りに病院の内部に入り込んでいきます。負傷兵への食事の世話や不潔なシーツの洗濯などの献身的な介護や病院の衛生環境の改善に取り組むことで、負傷兵の死亡率を劇的に低下させました。

膨大なデータを誰にでもわかるように図式化して見せたり、病院統計のモデルの提案をして、科学的に統計学的に実践をして、現代の公衆衛生や看護教育の分野で多大な影響をもたらしました。身近な所では、ナース・コールや病室に設置された水とお湯の出る蛇口、ナース・ステーション等、現代の病院で使われている病棟のシステムを開発したのもナイチンゲールです。

我々看護師にとって、学校で一番最初に学ぶのがナイチンゲールの「看護覚書」です。今からは想像できない厳しい現状や困難の中で、どんな時も患者に寄り添い、看護師としてのスキルや観察力を最大限に使って、今できることを何があってもぶれずに積み重ねていった姿、やりっぱなしでなく実施してきたことをきちんと統計学等にも証明していった功績は本当に素晴らしいと思います。5月12日が生誕200年。今回の新型コロナで、いつもなら何となく過ぎてしまう「看護の日」でしたが、改めてナイチンゲールの看護について考えさせられ、個人的に力を頂いた気が致しました。新型コロナが終息して、イギリスのフローレンス・ナイチンゲール博物館を訪れる日が来ることを楽しみに前を向いて進みたいと思いました。

高年齢労働者にとっての安心

4月になり新型コロナの先がまだ見えない中、入社式は行うものの入社後はテレワークになるところも多いようです。年々新入社員の採用数も減少している企業も増えてきています。これからは、若い人とともに、高年齢労働者をいかに安全に安心して働ける環境を整えていくかは大切になってきます。実際、日本の人口推移は65歳以上の比率がどんどん高くなっている中、「65歳以上でも働きたい」と希望する方は、50.4%と高い状況です。(平成25年内閣府「高齢期に向けた備えに関する意識調査より」)人生100年時代ですし、若い人口が減っている中、高年齢労働者の就業意欲があることは大変ありがたいことです。

反面、休業4日以上の死傷病災害の半数以上は50歳以上で発生、さらに60歳以上の割合は全体の4分の1を占めています。(「労働者死傷病報告」より)。

最近は、65歳まで働ける環境になってきていますが、雇用契約が60歳以降で1年ごとになるケースも多く、人事担当者から健康状況についてご相談されることが多くなっています。高年齢労働者にとっては、意欲はあっても体力や適応力等心配な面は感じているだけに、雇用が継続されるかは不安な所ではあります。若い方より個別差は大きいので、雇う側も雇われる側も安心するためにも、契約時は勿論ですが、お互いの気になっている点、不安に思っている点等はきちんとすり合わせしておくこと、正しい情報(事実)が言えたり、企業側に入るような関係にしておくことは日頃から大切です。また、雇用継続に必要な条件や能力等を分かりやすく明示することも必要だと思います。

医療職としては、加齢による心身の変化や予防法等の情報提供をしたり、その方にあった方法を一緒に考え行動に移して頂きます。そして、よい習慣の継続をサポートさせて頂きなるべく長く働いていただきたいと願っています、それぞれの仕事内容によって必要な能力は違いますが、今後どのような取り組みを行う必要があるのか、人事だけでなく例えば安全衛生委員会でも話題にしていくことは大切だと思います。

不安をやわらげるためにできること

新型コロナウィルスが毎日報道され、メルマガをお読みいただく頃には終息に向かっていることを心から願うばかりです。

企業としてすでに様々な対応をされていらっしゃることと思います。日本産業衛生学会からも随意新しい情報がアップされております。職域における対策として、基本的な感染予防、人事としての対応、感染リスクが高い環境への対策、企業の法的な対策等が、わかりやすく書かれていますのでご参考にされるといいと思います。

今回の件で、大人たちの不安な様子を見たり、3月に入り急遽学校がお休みになったりと大きな環境の変化に置かれた子供たちへの影響もとても心配です。大人が判らないことは子供たちも不安です。「不安」を少しでもやわらげるには、呼吸法がお勧めです。息をゆっくりはくようにする練習が役に立ちます。

我々保健師は、日頃この「不安」についてのサポートは大きなウェートを占めていると思っています。相談を受ける内容は、仕事や職場の人間関係、経済的なこと、将来のこと、家族のことなどで、日々不安になる要素はたくさんあります。たいていは考えても今はどうしようもない、どうなるものでもないと分かっていることが多いです。ある意味防衛反応で大切なことですが、不安が大きくなってくるとそれに押し潰されて最終的には行動に移せなくなる悪循環スパイラルに入ってしまいます。そんな時、我々はとにかく寄り添い、焦らずゆっくり、じっくりと話しを聴くようにします。それとともに従業員の方の心の自然治癒力を信じて、待つようにも心がけています。シンプルなことと思われるかもしれませんが、とても大切にしていることで、本当に難しいことだと思っています。このやり取りが職場でも家庭でもみんなができる環境になれればいいなと思います。是非皆さんも不安をやわらげるための「呼吸法」と「じっくり聴くこと」をやってみてください。

保健師の働く所

昨日の企業での面談の際のことです。部屋に入って来られた従業員の方の髪の毛は水色で一部金色、片側だけ刈りあがっていました。人は見た目で判断してはいけないですが、インパクトある姿に一瞬、間ができてしまいました(笑)。別のケースで真面目な管理職と休職中お会いしたら、黒髪だったのがみごとな金髪になっていたり、いずれもメンタル不調の方でしたが、髪の毛を色々な色に染めることで、今の自分から変わりたいという心理が働くのかもしれないですね。ちなみに青系は、希望を持たせてくれ、疲れた心身に安静をもたらしてくれる色だそうです。

保健師って、何人ぐらい働いていると思いますか。厚生労働省医政局看護課調べによりますと、平成28年では、看護師は121万665人、保健師は、6万2118人でした。保健師の就業場所としては、約6割は保健所と市町村で、事業所はとても少なく3079人(約5%)です。このうちのほとんどが大規模事業所に常勤でいる保健師ですので、中小企業まで十分行き届いていない現実を分かって頂けるかと思います。また中小企業の保健師は、ほとんどが非常勤で一人職場になります。回数はどのくらいが適当かは決まっているわけではありませんが、100名位で月1回はちょうどいい印象はあります。

中小企業の場合は、訪問した際に会議室がその日の保健師活動の場所になります。産業医の方は大体1時間訪問が多いようですが、私の場合、月1回1時間~3時間位になります。保健師のいる場所のイメージは、色々話ができて安心して休める所「学校の保健室」が一般的にわかりやすいかなと思います。何かあったら「保健室へ行って来いよ」的な場所を皆さんの企業にもあってもいいのではないでしょうか。是非この部分にも労力をかけてみましょう。

保健師ができること

新しい年が明けました。今年もどうぞよろしくお願い致します。

昨年、色々と新しい出会いを頂きました。一つ一つこなしていく中で、今更ながらですが「保健師」は知られていないものだな…と、改めて感じる1年でもありました。ストレスチェックが始まって少し認知があがってきたかなと思ったのもつかの間、50人未満の企業様ではほとんど認知がない現状も目にしました。

産業保健活動は、労働衛生管理体制のもと、労働衛生教育も実施しながら、安衛法の労働衛生3管理を基本原則に展開していきます。医師である産業医は基本医療に関することは全てができるのですが、産業医は忙しいので医師しかできないこと以外は人に任せます。その任せる先が、予防が専門である保健師です。また、安衛法第66条の7や第13条2では、事業者は、医師又は保健師による保健指導や労働者の健康管理等を行わせるように努めなければならないと定められています。今の少子化の時代、努力義務を守らず仮にブラック企業と呼ばれたら採用も定着も難しくなってしまうかもしれません。

産業保健師は、働く方が心身ともに健康で安心して安全に活き活きと仕事を行えるようにサポートしていきます。「健康」というのは、状況によって違いますが、病気があったとしてもその人なりにいいコンディションでお仕事をしていただけるように一緒に考えたりさせていただきます。

人は自分で納得して決めなければ行動には移しにくいものです。多くの人は、常に寄り添ってくれる人をより信頼します。これは、企業における産業医と保健師の従業員に対する接し方に似ています。家族ではないけれど、保健師を仕事の場で、身近で医師よりコストが安く、気軽に活用していただければ、企業を支える大事な力につながると信じています。

これから日頃保健師がやっていることをお伝えしていきたいと思っております。

会社で導入

私がお世話になっている会社に食堂ができました。そこの創業会長が、「従業員に温かいものを食わせてやりたい」と実現しました。若い人が結構利用しているのを見て、浸透しているなと感じました。私も食べに行ってみましたが、美味しくて、お腹一杯食べられるのは勿論でしたが、それ以上に私が感動したのは、食堂で食べている従業員は、全員食べる前に手をしっかり洗い、食べた後は、自分でお皿を洗い、賄の女性たちに「ご馳走様でした」と声をかけていたのです。

そして、食事を囲みながら従業員どうしが笑顔で話している姿もとても印象的でした。食事を通して、マナーやコミュニケーションの場にしっかりなっていたのです。その様子を目にして今の時代に減ってきているものをそこに見たような気持ちになりました。食堂を作れる力があるので、この会社は恵まれているのだとは思います。

私がお世話になっているもう一つの会社は就業時間中の13時にラジオ体操を導入しています。ラジオ体操をする、しないは従業員の自主性に任せる方式です。最初は隣でやっていても気にも留めず、パソコンとひたすらにらめっこだった方たちも、今ではほぼ8割の方が参加するようになっています。ラジオ体操をしながら「体が硬いな!」「最近お腹が出てきたよ」等の会話もいきかい自然と笑顔もでて、何となくいい感じの雰囲気になっています。

今は、「働き方改革」や「健康経営」等で職場環境改善が言われたり、人材定着はどこも話題になっていますが、色々な年代も参加できるようなもので、その会社の魅力になるようなことが仕事生活の中で定着するといいなと思います。皆さんの所ではどんなことをやっていらっしゃいますか。できればお金がかからない方がいいですが、会社の雰囲気を作るには経営者の考え方、価値観次第です。

歳を取らない体

先日、103歳の現役理髪師がテレビで紹介されていました。紹介された瞬間、「年齢は80歳位」「肌もきれい!」と思ったのですが、年齢を聞いてびっくりしました。確かにある年齢以上だと日頃の生活習慣で結構違ってくると思うのですが、その方の場合は衝撃でした。

まず朝食が充実していて、種類も豊富で結構な量を自分で作り食べていました。さらにプラス朝晩の運動を欠かさずするのですからお若いわけです。

運動は1日2回、自分で考えた手足の運動をやった後に近くの坂道を歩くものでした。

自分で考えたものなのにすべて理にかなったものなのにも驚きました。介護が必要となった原因の上位にあがっている認知症の予防にも健康維持は大事な目標になります。運動が効果的なのは知られているところですが、コグニサイズはおすすめです。コグニサイズとはコグニション(認知)+エクササイズ(運動)という造語で、頭(脳)を使いながら運動をする、2つを同時に行うトレーニングです。最近は研修をさせて頂くこともあり、私もほぼ毎日コグニサイズをやっています。例えば、ウォーキングをしながらしりとりをしてみます。簡単と思われるかもしれませんが、やってみると意外にできないものですよ。我々は脳を使っている時は、体は混乱しがちになります。コグニサイズは、できるようになったり慣れたら効果はあまり期待できないのです。間違えれば間違えるほど脳は活性化して鍛えていることになります。しりとりができるようになったら、ウォーキングをしながら走っている車のナンバーを全部足し算してみましょう。くれぐれも車に気を取られすぎないよう気を付けてください。それとコグニサイズは声に出してやってみることも大切ですので、しっかり口に出しながら実践してみてください。

「いつまでも現役で!」と言いますが、まずはやってみること、そして続けるには少しばかりの努力は必要です。そして何より大事なのは、楽しみながらやってみることだと思います。

上手な間食

皆さんは、仕事をしている間で間食はされますか?食事と食事の間隔は4~5時間位が理想的ですが、実際はかなり空いてしまうことが多いですよね。

ある食品メーカーの調査によると、働く方の8割が午後に小腹がすくと答えていて、さらに働き方改革を意識している方ほど、毎日間食をしている割合が多いようです。間食をする方の平均時間としては16時17分で、おやつは15時頃より1時間ちょっと遅い時間になっています。

間食はいけないものと思われがちですが、血糖値等の関係でも食べるタイミング等を考えて利用しましょう。例えば「夕食後に羊羹を食べる」と「夕食前に羊羹を食べる」を比べた所、「夕食前」の方が血糖値の上昇を抑えられるのです。「夕食後の羊羹」は血糖値が高くなるのは勿論のこと、就寝中もずっと高値を維持しますので、控えた方がいいでしょう。どうしても食べなければならない時、小腹がすいた時は、羊羹を推奨しているわけではなく、できるだけ野菜スープ等の消化のよいものにしましょう。一番良いのは3食を十分摂るということですが、どうしてもそれができない時があります。朝食抜きや簡単にしか食べていない場合の“午前中の間食”であれば、タンパク質をとるのがいいです。手軽なプロテインバーやゆで卵、アーモンドやクルミなどのナッツ類や乳製品等を口にしましょう。残業等が予想され、遅い夕食になりそうな時の“夕方の間食”は、16時から17時あたりにおにぎりやサンドイッチ等を食べると良いでしょう。その場合は、帰ってからのごはんなどの主食は取らない方がいいです。

こうやって、タイミングと内容の工夫次第で間食はしないではなくて、賢く活用しましょう。

健康のために歯のケアについてはよく言われ、実践している方も多くなってきました。平成28年歯科疾患実態調査でも、80歳で20本以上歯が残っている人の割合は、51.2%で過去最高、平成23年の40.2%から増加しています。   では、「舌」の健康維持はやっていらっしゃいますか?ほとんどの方が関心がなく存在感のない舌ですが、「呼吸する」「食べる」「話す」という生きるために欠かせないとても大切な役割があります。

舌の重さは約200グラムで、りんご1個分位あります。意外に重さがあるなとびっくりしました。そして、舌は筋肉でできていますので、しっかり「舌トレ」をしないと「落ちベロ」になってしまいます。

皆さんの舌の筋力をチェックしてみましょう。口を閉じたとき、舌はどの位置にありますか?確認してみてください。舌が上あごについていれば正しい舌のポジションになります。

この大事な舌をしっかりトレーニングしてあげましょう。「あー」「いー」「うー」「ベー」と発声するように口を大きく動かす動きを繰り返す「あいうべ体操」と歯ブラシで優しく舌を刺激する「ベロタッチ」の二つの方法はおすすめです。私も毎日やっていますが、どちらもとても簡単にできます。「あいうべ体操」は、免疫力アップ、呼吸の病気、心の病気、お腹の病気等に効果があります。

私が舌について関心を持ったのは、震災の避難所で口の中が乾燥して感染症になった方に舌を刺激することで唾液が出て感染症が減ったという話しを聞いてからです。簡単なことが予防に効果があると分かったことから舌のトレーニングを始めています。