秋から冬への移り変わりは、昼と夜の温度差が大きく、体温調節が難しくなり、寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなったりしやすくなります。また、仕事や家庭のストレスが増える時期でもあるため、睡眠の質が低下し、疲れが取れにくくなります。質の良い睡眠は、免疫力を保つための基本であり、脳と身体のリセットにも欠かせません。
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド」では、睡眠時間が5時間未満の人は、肥満になるリスクは1.13倍、メタボリックシンドロームの発症リスクは1.08倍とありました。また、6時間未満の人は、7時間以上8時間未満の人と比べて、心筋梗塞や狭心症等の発症リスクが4.95倍になると報告されています。睡眠時間の目安としては、6~8時間が適正と考えられ、少なくとも6時間以上の確保に努めることが推奨されるとありました。
面談をさせて頂くと、休日に「寝だめ」していますという話を聞くことがあります。皆さんは、いかがでしょうか。日頃からしっかり睡眠をとっている方が休日に1時間程度の寝だめはいいようですが、基本眠りを「ためる」ことはできません。
毎日の睡眠が大切ということになりますが、いくつか工夫をお伝えします。まずは、寝る環境(温度や明るさ、音等)を整えてみましょう。寝る前には照明を落として過ごし、就寝時には照明は消すようにします。LED照明の暖色系に調光していたとしても、ブルーライトが多く含まれています。スマホは近距離で画面を直視するため眼に入る光の量はパソコンよりも多いと考えられていますので寝る前は特に気をつけましょう。また、寝ながら音楽を聴く方もいますが、睡眠中も耳からの刺激は脳に伝わり、自律神経系やホルモン分泌に影響することが指摘されていますので、タイマー等で切れるようにします。
コーヒーや緑茶、コーラ等のカフェインを含む飲み物は取りすぎないようにします。エナジードリンクの中には、コーヒーの5倍近いカフェインが含まれている物もあります。カフェインレスの麦茶や水を上手く利用するようにします。
遅い夕食は眠りを妨げるだけでなく、朝食欠食にもつながりますので、遅い夕食の場合は、2回に分けて食べる等もおすすめです。寝酒は睡眠の質を悪くしますので、もし習慣になっている方は急にやめるのでなく、週単位で徐々に減らしていくか、医療機関に相談しながら断酒されるのもよいです。ウォーキング等の有酸素運動や筋力トレーニング、ヨガ等も睡眠改善に効果があります。
ご自身の睡眠環境や習慣をチェックして質のよい睡眠を心がけてみましょう。