これからの健康管理

 副業、兼業という言葉は、働き方改革とともに耳にするようになってきました。厚労省も「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を出しています。ただ、実際には行っている人はまだそれほど多くはないように思っています。労働者にも企業側にもメリット、デメリットはあるのでそれらを十分理解した上で、行っていくことになります。

 個人的にはオンライン面談も当初は現場で取り入れるのは難しいと言われていましたが、今はかなり浸透してきていることや、在宅での仕事も環境や取り組みの改善が重ねられて、それほど抵抗がなくなってきています。それらを考えると、副業・兼業もこれから進んでいくことが考えられます。
  ガイドラインでは、使用者は労働者に対して、健康保持のため自己管理を行うよう指示したり、心身の不調があれば都度相談を受けることを伝えたり、副業・兼業の状況も踏まえ必要に応じ法律を超える健康確保措置を実施する等が重要とうたっています。
 これからも変わらず求められてくることは、「自分の健康は自分で守る!」セルフケアが大切なのだと思います。労働者自身が本業と副業の労働時間とともに健康状態を管理できる便利なツールを利用しながら、視覚的に自分の状態をチェックすること、働く際のベースとなる日頃からの食事、休養(睡眠)、運動の3本柱はしっかり保つことです。さらに、心の面(考え方やコミュニケーション力、自分なりのキャリアの確立等)へのケアや軌道修正ができるスキルや実行力はこれからますます求められてくると思っています。まだどういう形がいいのかよくわからないですが、今年も企業ができる健康管理へのアプローチとともに、労働者自身が自分で健康管理を行うという意識をしっかり持ち実行してもらえるように関わっていきたいと思っています。

女性が活き活き働くために

職場で活躍している女性はたくさんいます。女性が活き活きと働き続けてもらうために、
これからますます取り組みは進むと思われますが、そのひとつとして、国は少子化対策として
不妊治療の保健適用の検討も始めています。

女性の健康は、女性ホルモンの影響が大きく、生涯の中で月経、妊娠、出産、更年期等、様々な変化があります。また、働く女性が増えている中、結婚や出産を選択されない方もいて、この状況は女性ホルモンの影響を受ける期間が増え、中には女性特有の病気につながってしまう方もいます。今後は女性特有の健康課題や女性を取り巻く職場環境の整備が重要となってきます。

日々の活動の中で若い女性の面談をしていると、女性の体についての知識があまりにも少ないことに驚くことがあります。さらに、婦人科受診のハードルがかなり高いようですし、忙しい毎日で受診の時間が取りにくかったり、費用的なことも医療につながらない要因の一つになっているようです。

その結果、悩みながらも何もせずそのまま様子をみている方も多く、日々のモチベーションも上がらないままだったり、必要以上に落ち込んでしまい、不安を抱えてながら業務をこなしているので、最終的にはパフォーマンスにまで影響している状況も見られます。 会社として受診しやすい環境や費用負担等の制度づくりとともに、正しい知識を学べる教育機会を提供していくことも必要です。研修を年代ごとにわけて行ってもいいかもしれません。あるいはテーマを変えながら、繰り返し情報提供を行ってもいいと思います。内容に応じて講義やe-ラーニング形式やグループワークを入れる等、提供の仕方も工夫してみるといいと思います。勿論、男性にも女性の健康についての正しい知識と関心を持っていただくことも必要です。

コロナ禍で太る背景

松島弘典は年内お休みします。

テレワークを導入する企業が増え、在宅時間が増えた人も多くなっています。通勤時間がなくなり、ある意味リラックスした環境の中で働けるメリットを感じている反面、生活習慣が乱れて運動不足を感じている人もいるようです。 一般社団法人生活習慣病予防協会によると、自宅から職場までの移動の身体活動を消費エネルギーに換算すると、約300kcal、これに職場内での移動や休憩、昼食時の移動を含めると消費エネルギーは、約400kcalを超えるとのことです。

それに対して身体活動が自宅だけの場合は、1日のエネルギー消費量は約50kcal、通勤していた時と比べると350kcalもの差があります。この差が1週間で体重にすると約1kgです。その他自宅では、甘い飲み物やお菓子、果物等の間食を食べる機会も増えがちで、わずか1カ月で約3kgの体重増加の可能性があるのです。

さらに厚労省の「国民健康栄養調査」によると、運動習慣改善の意思について、「関心はあるが改善するつもりはない」と回答した割合が最も高い結果でした。運動習慣の妨げとなる点は、男女とも「仕事(家事・育児等)が忙しくて時間がないこと」の回答割合が高く、続いて「面倒くさいこと」が続いています。これではコロナ渦でも太るのも納得です。

職場でも最近は立って会議をしたり、デスクワークの合間にその場に立ち上がってストレッチを行っている所もあります。その他ラジオ体操を入れたり、歩数をチームで競うイベントを開催して、職場のコミュニケーションの場として活気が出ている企業もあります。無理せず長くできる運動を工夫してみましょう。

脳・心臓疾患

20年ぶりに「脳・心臓疾患の労災認定基準の改正」がありました。    ①長期間の過重業務の評価にあたり、労働時間と労働時間以外の負荷要因を総合評価して労災認定することを明確化した。②長期間の過重業務、短期間の過重業務の労働時間以外の負荷要因を見直した。③短期間の過重業務、異常な出来事の業務と発症との関連性が強いと判断できる場合を明確化した。④対象疾病に「重篤な心不全」を新たに追加したとなっています。

また、令和2年度「過労死等の労災補償状況」では、脳・心臓疾患の労災補償状況の請求件数、支給決定件数はともに前年度に比べて減っていましたが、年齢別にみると40代に入ると急激な人数増加があります。いかに若いうちから健診データの変化とともに、生活習慣改善の重要性を意識してよい生活習慣行動に移していくかが重要であるのを感じます。

50代に入り脳・心臓疾患を発症された方達の健診データをさかのぼりますと、30代後半あたりから肥満が始まり、コレステロールや肝機能の所見が出始め、高血圧や高血糖と徐々に進んでいる傾向がわかります。これは不規則な生活習慣をそのままにしておけば誰でも例外ではないことですが、なかなか気づきや意識を変え行動変容までは難しい方が多い現状もあります。

企業として職場環境を整えると同時に、従業員への意識改善への情報提供や働きかけも必要です。まずは、ご自身の健診データを経年的に見てみましょう。今の生活習慣は脳・心臓疾患の原因となっていませんか?

 

コロナ禍でのメンタルヘルス

厚労省の令和2年「労働安全衛生調査(実態調査)」では、現在の仕事や職業生活に関することで、強い不安やストレスになっていると感じる事柄がある労働者の割合は、54.2%でした。 現在自分の仕事や職業生活でのストレスについて相談できる人がいる労働者の割合は、90.8%で、相談できる相手(複数回答)でみると、「家族・友人」が78.5%「上司・同僚」が73.8%でした。男女別で、実際に相談した労働者の割合は、「家族・友人」は、男性66.8%、女性81%、「上司・同僚」は、男性74%、女性60.5%とあり、男性は「家族・友人」より「上司・同僚」に、女性は「家族・友人」に実際には相談している結果でした。

はたらく人の幸せに関する調査結果(パーソナル総合研究所・慶応義塾大学)では、2020年2月と2021年2月を比較したところ、はたらく幸せの実感はほぼ変わらず、不幸せは減少していて、在宅勤務等のテレワーク実施をはじめ、コロナ禍における働き方の変化によって従来受けていた不快なストレスが軽減しているからだろうとありました。ただ、20代は、テレワーカーと出社者を比較したところ、テレワーカーの方がはたらく幸せの実感は低く、不幸せの実感は高いことが確認されたともありました。さらに、テレワーカーでも「自己抑圧因子(自分なんて)」「オーバーワーク因子(ヘトヘト)」「協働不全因子(職場バラバラ)」「疎外感因子(ひとりぼっち)」については、テレワーカーの方が高い傾向という結果も出ていました。

長く続いているコロナ禍による心身へのストレスは色々な影響が出ているようですが、

基本はセルフケア力で対応しておくことです。気持ちのコントロールが難しい時には、自分にとって好きなことや楽しいことをしてみましょう。体を動かすこと(ラジオ体操、ストレッチ、その場足ふみ等)はおすすめです。また、人とのリアルな交流ができない時には、オンラインや電話、手紙を書く等、自分から発信してみる機会を作って見ることもいいですね。

女性の健康課題

働く女性は労働人口の4割を超えており、女性の管理職も少しずつですが増えてきている状況です。勤務年数も伸び、出産年齢の上昇や生涯出産数減少、平均寿命が伸びる等、女性を取り巻く環境も大きく変わってきています。

今まではどちらかというと男性中心のメタボリックシンドロームや生活習慣病への対策でしたが、今後は女性従業員への健康支援も重要となってきています。

経済産業省の調査では、女性従業員の約5割が女性特有の健康課題により「勤務先で困った経験がある」、また、女性従業員の約4割が女性特有の健康課題などにより「職場で何かをあきらめなくてはならないと感じた経験がある」とありました。

女性の場合、男性とはやや異なった健康問題(骨粗しょう症・骨折、関節・筋肉の変形や弱化、認知症など、女性ホルモンに関連して起こりやすい問題)が多くあります。20代から30代女性の抱えている健康問題、50代以降の女性が抱えている健康問題等、それぞれのライフステージでの関わりの必要性を強く感じています。不調を感じながらもどう対応したらいいのか悩み、仕事のパフォーマンスも低下している状況が続いていることが多いです。職場としてできる取り組みは色々あると思いますが、まずは女性特有の健康課題や症状等に関する教育は必要だと思います。その他例えば、職場で少し横になれる環境があったり、相談しやすい窓口を設置したり、婦人科検診の重要性を啓発したり、婦人科検診受診率向上への取り組みや、柔軟な働き方ができる体制作り等も整えていくことが必要です。

また、女性に限らず、男性も女性の健康問題への関心を持ってもらうことも大切になります。

意識して食べる

毎日食事を意識して食べていますか?

「いつ何を食べるのか」(時間栄養学)を意識すると、体調やお腹周りがスッキリしてくると言われています。 1日3食、食べない人の話を聞くと、たいてい朝食を抜いているケースが多いです。特に若い方にその傾向が出ていますが、シフト勤務者は遅番の際に朝昼兼用で1日2食の人もいます。朝食を抜く回数が多かったり、夜食の頻度が高い人ほど肥満の傾向が強くなることはわかっています。

朝食を抜くと、空腹状態が続くことで脳が飢餓状態を認識して非常時に備えて脂肪合成を促して太りやすくなる、低血糖状態になり作業効率が低下する、必要な栄養が十分にとれなくて、栄養バランスが崩れやすくなり、筋力低下や疲れやすい等が言われています。

多くの生物は体の中に「体内時計」という時計を持っていて、この体内時計をリセットするために朝食が必要なのです。この朝食の時間を目安に体は1日の中でいつ活動して、いつ休息するかを認識します。できるだけ同じ時間に朝食は食べるようにしましょう。

また、体内時計を正しくリセットするには、たんぱく質と炭水化物の両方が必要と言われています。例えば、パン派の方は、サンドイッチ、卵、バナナ、ヨーグルト、チーズ、

ご飯派ならば、ごはん、みそ汁、卵焼き、納⾖、のり等のメニューはおすすめです。

 時間栄養学では、夜遅くの食事では食欲を抑えるレプチンの分泌量が低下し、過食しやすくなると言われていますので、夕食は腹八分目を心がけましょう。

 健康でパフォーマンスのよい生活をするためにも、まずは「朝食」の時間と内容を意識することから始めてみましょう。

血管の弾力性が大切!!

血管は、加齢とともに硬くなり、弾力性を失っていきます。血管の老化は、動脈硬化につながり、血圧が高くなる原因の一つにもなります。脳梗塞や心筋梗塞を防ぐためにも、いかにしなやかでやわらかい血管を保つか、血管力を高めていくかは大切です。 血管は、外膜・中膜・内膜の三層構造になっていて、外膜は血管を保護し、中膜は血管にかかる圧力を調整する役割があります。内膜は血液に直接触れる部分で、繊維からなる薄い層と内皮細胞でできています。この内皮細胞から血管をしなやかに弾力性を強める働きがあるといわれる一酸化窒素(NO)が作られます。

NOを効率的に増やすためには、「血流をよくすること」「血管内皮細胞を傷つけないこと」です。食事と運動とストレスケアがポイントになります。

食事では、タンパク質が豊富な食品(赤肉、魚、鶏肉、豆、大豆、ナッツ等)を取るこ

とです。また、NOを保護してくれるビタミンCやビタミンE(特にトマトやカボチャ等の色の濃い野菜)、ポリフェノールも意識して取るようにしましょう。塩分は内皮細胞を傷つけますので控えるようにしてください。

運動は特別なものでなく、出来るだけ歩いたり(胸を張り背筋を伸ばす、いつもより歩幅を広げてテンポよく)、階段を使ったりを意識してやってみましょう。時間がない方には、ふくらはぎの筋肉を動かす(つま先やかかとの上げ下げだけの運動)や、手のひらを合わせて力を入れて5秒くらい押し合うだけでもNOを増やすことができます。

 それから健診だけでなく、自宅や職場に血圧計がありましたら、ぜひ日頃の血圧も測ってみて下さい。以前より10mmHgほど診断基準が厳しくなっています。

お口の健康

5月は健康診断の所も多いのではないでしょうか。体の健診はやっていても働く方で歯の検診を定期的に行っている方は少ないのではないでしょうか。私は半年に1回歯石クリーニングは行っていますのでその際に虫歯なども見てもらっています。
「8020運動」聞いたことがあると思いますが、80歳で20本歯を残せるよに!と始まったものです。平成28年に50%達成、東京都港区では令和4年60%達成目標なのを令和元年にクリアとの報告がされていました。

逆に最近は「かみにくい」と訴える高齢者が多くなってきています。また歯周疾患は高齢とともに増加していて、歯石が沈着している人が約4割とありました。
特定保健指導の問診の項目には、平成30年から「かむこと」について新たに追加されました。これは、歯周病やむし歯などで歯を失うことによって口腔の機能や咀嚼する機能が衰えることで、野菜の摂取が減り、食べやすい脂質や炭水化物が増加することで生活習慣病のリスクが高まるという指摘からです。その他、口腔の健康と関連する項目として、「喫煙」「食べる速度」「間食や甘い飲み物」もあり、歯周病、肥満、むし歯のリスクに関連しています。
80歳になっても肉を自分の歯でしっかり食べれるように、長く自分の歯を維持できるようにケアしていきましょう。
お口が清潔であるということは長生きの秘訣でもあると言われています。お口周り、咀嚼はコミュニケーション、呼吸等すべてが生きることに直結しています。肌年齢等で一喜一憂しがちですが、口の中のケアをしっかり行っていければ寿命や若々しさにもつながるのではないでしょうか。

1日2万回!

私達がマスク生活になり、だいぶたちます。今年はマスクによって花粉症やインフルエンザは比較的軽くて済んだ方も多かったようです。ただ、マスクをしていることで口が開いたままになっている方もいるようです。口で呼吸をすることのデメリットは、虫歯や歯周病になりやすい、口臭の原因になる、歯並びが悪くなる、風邪やアレルギーになりやすい、老化を促進するなどたくさんあります。

鼻は天然のマスク、空気清浄器と言われています。外気を取り込む際に、一緒に入ってくるゴミや塵、アレルゲン、細菌やウィルス等を除去したりろ過してくれます。なので鼻呼吸の方が口呼吸より良いと言われています。また鼻は冷たい外気を加温や加湿、肺の水分調整もしてくれます。これらの働きにより、我々は風邪をひきにくかったり、ウイルスに感染しにくくなります。
1日2万回と言われている呼吸を私達は生まれてから死ぬまで一時も休むことなくしています。口呼吸から鼻呼吸にするための簡単で効果もわかっているおすすめの方法が「あいうべ体操」です。福岡のみらいクリニックの今井先生が考案された方法です。
(やり方)
4つの動作を順にくり返します。声は出しても出さなくてもかまいません。
(1)「あー」と口を大きく開く
(2)「いー」と口を大きく横に広げる
(3)「うー」と口を強く前に突き出す
(4)「ベー」と舌を突き出して下に伸ばす
(1)~(4)を1セットとし、1日30セットを目安に毎日続けます。
ちなみに私も毎日お風呂に入った時や隙間時間にやっています。ゆっくり大きく行うと、顔の筋肉もかなり動きますので、表情も豊かになったり気分転換にもなります。