新入社員定着の工夫

 皆様の職場には何人くらい新入社員が入社されましたか?元気に頑張っていらっしゃるでしょうか?

 産労総合研究所では今年の新入社員は、「自分の未来は自分で築く!「セレクト上手な新NISAタイプ」」と発表されていました。また、厚労省では、新規学卒就職者の離職状況として、就職後3年以内の離職率は新規高卒就職者 37.0%、新規大卒就職者 32.3%でした。  どの企業も新人獲得とともに定着は課題になっています。

 先日4月に研修をさせて頂いた新人の方と個別面談をさせて頂く機会がありました。研修時は朝食を食べていなかったのですが、先日の面談時に伺ったら朝食を食べるようになっていました。詳しく変化を聞いたところ、朝食をなぜ食べた方がいいのかがわかり、簡単な方法もいくつか知ったのですぐにやってみましたとのことでした。そして、実際にやってみたら体の調子がとてもよく、朝も起きられるようになったと笑顔で話されていました。

 私は、なぜそれをするのかの目的もしっかり伝えて、いかに具体的にアドバイスをお伝えするかはとても大切だと思っています。また、どんなに小さなことでも実践してみたことは思いっきりほめるようにしています。これにより自己効力感も高まりさらに行動してくれますし、何より自信がつきます。そして、面談の最初や日頃から「最近どうですか?何か気になっていることはありますか?」と聴いたり、面談の最後には「ここまでで何か質問はありますか?言い足りなかったことはありますか?」と理解度等を確認したり、「いつでも話しに来てくださいね」と相談できる先があることを必ずお伝えしています。

 大切な新入社員の方が元気にしっかり配属先で頑張って頂けるように本人は勿論ですが、受け入れる職場のメンバーの方との信頼関係を作るためにも、日頃からの丁寧なコミュニケーションの積み重ねが大切だと思っています。

歩いて病気予防

 1日どのくらい歩いていますか?どのような歩き方をしていますか?

 歩くことは健康にいいとわかっていても具体的に歩き方を意識している方は少ないのではないでしょうか。手軽な運動ですが、歩数は意識して、歩き方を少し工夫するだけで色々効果もアップします。

 中之条研究の研究結果では、メタボリックシンドローム予防には、1日10000歩/早歩き30分、生活習慣病(高血圧・糖尿病・脂質異常)の予防には、1日8000歩/早歩き20分、骨粗しょう症、動脈硬化、がんの予防には、1日7000歩/早歩き15分、うつ病予防には、1日4000歩/早歩き5分と示されています。人により歩く速度は違いますが、目安は10分で1000歩になります。

 歩き方としては、少し汗ばむくらいの早歩きを入れてみます。全体的に早く歩くのでもいいですが、早く歩いた後、ゆっくり歩くを交互に入れる歩き方もおすすめです。

 歩く時には、背筋を伸ばした姿勢や少し大股で腕もできるだけ大きく振ってみましょう。そして歩いている時は、歩くことや周りの景色を楽しむようにしましょう。「今、ここで」の状況に集中してあげることで脳の疲労回復にもつながります。

 さらに歩く際の工夫として、できるだけ自然の中を歩くことはおすすめです。実際に週に1回以上の定期的なウォーキングやジョギングは、ジム等でのエクササイズに比べてメンタルヘルスのリスクが半減した実験もあるようです。これからの季節は是非自然に触れながら歩くことをすると気持ちもすっきりしますし、心も元気になります。海も川も山もそれぞれに気持ちがよいですが、水辺だとより効果は高まると言われています。

 天候が悪い時には、室内ウォーキング(その場足ふみ)も取り入れてみましょう。

 誰にでも手軽にできる歩くことを習慣化していきましょう。

春の体調管理

 最近、体がだるい、イライラする、眠くて仕方がないなどはありませんか。

 4月は花粉症も気になりますが、寒暖差が一番大きいこと、日照時間も長くなることで生活のリズムが乱れやすい季節です。また、仕事場や家庭でも何かと環境の変化もあり、ストレスや緊張を感じやすいと言われています。体は交感神経が優位な状況となっていまして、続くと色々なサインにつながってしまいます。

 この状態は、体が休息のサインを出しているということですので、まずはしっかり睡眠時間を取り、寝る前の環境を整える等できるだけ睡眠の質もよいものにしましょう。      

 体のだるさは東洋医学的には、肝が弱っていることにより起こっているもので、栄養不足により感じると言われています。食べ物では春が旬のものは苦みが強いですが、たらの芽やふきのとう等はお勧めです。新キャベツや新玉ねぎも老廃物を排泄するカリウムも入っていますし、豚肉や鶏肉等と組み合わせて食べることで、ビタミンやミネラルも一緒に取ることができます。

 趣味に没頭したり、音楽を聴いたり、親しい人と話したり、ハーブティ等を飲んでリラックスしたり、軽くストレッチや散歩で体をほぐしてみたり、その場で何回か深呼吸をすることでも体を整えることにつながります。

 実感できる簡単な方法としてはツボを刺激してみましょう。足三里(あしさんり):ひざ下の窪みから指4本分下がった脛の外側にあるツボや湧泉(ゆうせん):足の裏の中央よりやや上、足の指を曲げた時にへこむところにあるツボを押してみましょう。何かをやるのはちょっと面倒という方は、自分の手や足や体をさすってみるのでもいいと思います。

 忙しい時だからこそ、こまめに体のメンテナンスをしてあげましょう。

つながらない権利

 保健指導や健康相談の際に、「勤務時間以外に会社から連絡が入り、休日も休んだ感じがしない」という話をよく聴くことがあります。 今回「つながらない権利」の調査結果を見た時に、リアルに現場の状況と結びつきました。
皆さんの職場の状況はいかがでしょうか。

 調査結果では、「勤務時間外に部下・同僚・上司から業務上の連絡がくることがある」は 72.4%(コロナ禍前より 8.2 ポイント上昇)、「勤務時間外に取引先から業務上の連絡がくることがある」44.2%でした。

 そして、勤務時間外に業務上の連絡がくること自体や、連絡の内容を確認しないままでいることはストレスになるが多かったり、実態調査自体が職場ではまだ十分にされていない現状でした。反面、勤務時間外の連絡を拒否することで緊急性の高いトラブルへの対応が遅れることや、今後のキャリア形成への影響を心配している面もありました。

 これを見ながら、私は先日の管理職との面談を思い出しました。その方はある意味「つながらない権利」を自分で実践されていると思いました。今まではいつも忙しそうで常に厳しい表情をして、業務や部下、そして会社への不満を話され疲れ切っていました。本人の口からも「休日かまわず会社からの連絡があって全然休めない・・・、仕方ないけどね・・・」が口癖でした。ところが、その方曰く「部下を信じることにしたら、電話が少なくなってきて、今ではほとんど連絡がなくなったんですよ!」と、本当に素敵な表情でお話されていました。

 企業としてしっかり「つながらない権利」を整えて頂くことは今後重要だと思いますが、「現場には任せられない・・・」「自分がやらなければ・・・・」「なかなか育成ができない・・・」等の考え(思い込み)を少し見直してみて頂くだけでもその思いは周りに伝わっていく可能性は高いと思います。そして一人ひとりが自分を信じてあげることで、このケースのように少しずついい方向に変化していくのではないかと私は思っています。

頑張っているあなたの目

 仕事でもプライベートでもパソコンや携帯を見ることは多くなっていますので、目の疲れを感じる方は多いと思います。目が疲れてくると、かすんだりぼやけたり、充血しやすくなったり、目が乾燥したり等の症状につながってしまうこともあります。 健康診断の自覚症状の項目でも上位になっています。

 パソコンやスマートフォンなどを長時間使用すると、ピントを調整してくれる目の筋肉が緊張しっぱなしということになり、疲れてしまいます。

 また、長時間同じところを見ると、まばたきの回数も減ってしまいドライアイになりやすくなります。さらに、見えにくかったりピントが合わないとつい前かがみ姿勢になってしまい、肩こりや頭痛の原因になる事もあります。面談で肩こりや頭痛の相談の中には、目が関係していることが意外にあります。

 日頃から目が疲れにくい作業環境を整えていくこと(明るさ、机や椅子の高さ、エアコンの風が目に当たらない、パソコン画面の掃除等)や、目が疲れにくい方法で作業していくこと(こまめな休憩を入れる、パソコン作業時の姿勢等)、休憩に合わせてアクティブレスト(積極的休憩)を入れていくこと(気分転換や散歩、首や肩まわりのストレッチ、リラクセーションや入浴等)も効果的です。肩や目の周りの筋肉をほぐしてあげることで、目に関係する血行をよくすることにつながり、目の疲れをリセットしてくれます。 厚労省のこころの耳にもヨガや呼吸法等の短い動画が色々ありますので休憩時にやってみるのもおすすめです。

 眼鏡やコンタクト等の度があっているかの定期的な検査や、目の病気が隠れていることもありますので、気になったら早めに病院受診も必要です。

 何となくあと回しになりがちですが、頑張ってくれている目のケアもしてあげましょう。

腰痛

 厚労省の自覚症状の状況の調査では、男女ともに「腰痛」がトップでした。私がサポートさせて頂いている企業のどこも腰痛は一番多く、面談でも体のご相談で多い症状になります。皆様の事業所はいかがでしょうか。

 さまざまな業種に見られ原因としては筋力バランスが崩れたり、腰に負担になる動作や仕事環境、心理的要因が重なり腰痛になると考えられています。

 重いものを持つことが多いだけでなく、長時間のパソコン作業や、不用意に上半身をひねったりすることも原因になります。環境では寒い職場にいることで筋肉が緊張したり、照明が不十分な中での階段等の踏み外しや転倒、姿勢の悪さ、振動作業や狭い所での作業等もあります。個人的要因では、年齢、性別、体格、運動不足や肥満等もあります。また、休みが取りにくい、勤務編成の問題等は精神的な緊張につながります。心理・社会的な面では、仕事上のトラブル、仕事への満足感の不足、過重な勤務や一人での勤務等のストレスも原因になります。

 日頃から腰への負担をためないように心がけることは大切です。できるだけ腰に優しい姿勢を意識してみましょう。物を持ち上げる時は、胸を張って、背中や腰はまっすぐにして、片ヒザをついて、物をおへその近くで持つようにします。

 椅子に座る際も、肩の力を抜いて、背筋を伸ばして骨盤を立てるようにして、耳と肩が一直線になるように軽く顎を引いてみます。また、1日1回は太腿の裏側を伸ばしてみましょう。長時間椅子に座る時は、バスタオルを折って腰やおしりの真下に敷いてサポートすると姿勢を維持しやすくなります。

 その他には、私もやっていますが、隙間時間に3秒でできる「これだけ体操」をお勧めしています。実際ご紹介した方は効果を感じたようです。足を開き骨盤を前に押し込みます。その後3秒キープして、ゆっくり元の姿勢に戻します。厚労省でも「これだけ体操」は推奨しています。具体的にイラストでわかりやすく紹介していますので、確認してみて下さい。

2023年の面談を振り返って

 年々感じていますが、面談の中で入口は体調や仕事のことをご相談されるのが多いのですが、家族の介護と仕事の両立で心身ともに疲弊されている方が多くなっていると思っています。現場の管理職レベルで業務を調整したり、話しを聴いて頂いたり、企業として制度を活用しやすいように周知の工夫をされている所もあったり、以前よりは「介護」は話しやすくなってはきています。

 ただ、残念ながら介護と仕事の両立は、育児との両立とは違い、介護者の心身の負担は増え続け、介護期間の目途がない中でやって行くので、思っている以上に苦しい面も多いのが現状です。それぞれの家の事情もありますので難しい面もありますが、どの企業も従業員の年齢層があがってきていますので、介護はこれからもっと切実な問題となってくると思っています。

 介護が必要になった時にまず何をするのか、日々の事で精一杯になっている方にとって、いかに自分の体調を整えていくのか等、情報提供と話しを聴いてもらう場があることは何よりも重要だと思います。思っている以上に介護に関する基本的な情報を知らない方も多いので、企業として使える社内制度にはどんなものがあるのか、介護が必要になったらまずどこに相談すればいいのか、どういうサービスを使っていけばいいのか、会社とはどのように連携していけばいいのか等を研修等でお伝えしていくことも一つだと思います。また、現場としてもいつ自分がなるかわからないことなので、お互い様の気持ちを持って接したり、時々は少しの時間でもいいので話しを聴いたり、相談できる窓口等もあるといいと思っています。

 介護者は一生懸命自分の時間を使って介護していて、現状を俯瞰する時間も気力もない方が多いと思っています。まずは自分を大切にしてあげることが長い介護を支える大事なポイントになると思っています。家族の介護はしなければいけない、自分が頑張らなくてはいけないと思い込み過ぎて、疲弊している方が周りにいらっしゃったら、とにかく話しを聴いて頂き、様子を見ながら「あなたは本当によく頑張っているよ。自分も大切にしてあげてね」と声をかけてあげてください。

足のケア

 先日体力測定のイベントに参加したのですが、足の指の筋力低下を言われてショックでした。最近運動不足とは思っていましたが、想像以上の低下にびっくりしました。

 皆さんは、「片脚立ちで靴下をはけますか?」これは、ロコモチェックの一つですが、当てはまるようですと骨や関節、筋肉などの運動器が衰えているサインかもしれません。

 「何もないところでつまずいて転倒、足がもつれて転倒はどうでしょうか?」これは、転倒災害の原因で一番多い項目です。転倒災害は移動中だけでなく、作業中もありますし、風や物や人を避けようとしたり、立ち上がる際にバランスを崩しての転倒も結構あります。

 職場での50歳以上を中心に、転倒による骨折等の労働災害が増えていますし、事業者は労働者の転倒災害防止のための措置を講じなければならないとなっています。

 加齢とともに身体機能が低下し、転倒しやすくなりますので、日頃からの筋力アップの体操や足のケアは大切です。また、女性は、加齢とともに骨折のリスクも著しく増大しますので、骨密度チェックもおすすめです。現役の人でも、たった一度の転倒で寝たきりになる事もあるようです。

 日頃から、足の指でゆっくりじゃんけんをしてみたり、新聞やタオルを足の指でたぐり寄せたり、丸めてみたり、持ち上げたりしてみて下さい。また、椅子に座ってつま先上げや、かかとの上げ下げをしてみましょう。かかとの上げ下げは、ふくらはぎの筋肉を鍛えるので、下半身の血流アップにもなり、動脈硬化や高血圧の予防にもなります。時間がない方や日頃したことがないという方には、入浴の時に足の指を広げて洗ったり、足裏をマッサージすることからやってみてはいかがでしょうか。 転倒予防は勿論、将来の寝たきりになるのを今から予防するためにも足のケアは忘れずに行っていきましょう。

上司のあり方

 企業の管理職向けのセミナーを実施する中で、管理職の方からコロナ以降テレワークにより、部下とのコミュニケーションや人事評価が難しくなったという声をよく聞きます。意識調査ではテレワークを続けたい人が8割、まだ感染防止等が続く中で、今の職場環境は今後もゼロにはならないでしょう。

 管理職にとっては部下のマネジメントは、改めて考えていかないといけないと思います。部下の様子が見えないと何かと不安になるのは当然だと思いますが、根底に上司は部下を心底信用していない面もあるのではないでしょうか。上司の役割はいかに部下自身で動けるようになってもらうか、動かし上手になるかだと思っています。それには、まず信じること、ほめること、もっと言うと部下への感謝の気持ちを持つことは必要です。表面的な承認ではなく、心から「助かったよ」と言葉で言うことです。眉間にしわが寄っていたり、作業をしながら言ったのでは気持ちは伝わりません。コミュニケーションが苦手な上司はここを少し意識されるだけでも関係が変わってくると思っています。

 上司は指示や命令で部下を動かすのではなく、部下がやることの目的をしっかり理解し、何をどのようにするのかを自ら考えさせ、具体的にイメージして「自分はやれそうだ!」と思わせないと部下は動かせないのです。上司はその進捗を信じ適宜ポイントをチェックしていくことだと思います。もし、できていなければ「なぜできない!」ではなくて、「どうすればできるか」に焦点を当てて一緒に軌道修正をすればいいのです。すべてのベースになるのは、しっかりと(聴きすぎず、話しすぎず)部下の話しを聴いて関係を作ることも忘れてはいけないことです。

 それと、ITツールはどんどん進化していますし難しい面もありますが、それぞれのツールの特徴を理解して、状況に応じて使い分けていく力は求められていると思っています。 今までも上司のあり方は常に言われていると思いますが、これからはさらに重要になってきます。部下への感謝の気持ちを持ち、「指示命令」から「支援していく」姿勢が必要になってきていると思います。

労働安全衛生調査(実態調査)!?

令和4年労働安全衛生調査の結果が公表されました。毎回必ず内容は見ているのですが、「仕事や職業生活に関する強いストレス」の労働者割合は一瞬二度見してしまいました。 例年5割程度になっていた所が、82.2%となっていたのです。これはコロナの影響なのか?と思ってみたり・・・。でもよく見ましたら欄外に以下のように注意事項が記載されていました。

「令和4年調査から本設問の形式を変更した。令和3年調査は、最初にストレスの有無を選択させ、「ある」を選択した場合にストレスと感じる事項(10項目)から3項目以内を選択させる設問形式としていたが、令和4年調査は、ストレスの有無の選択を前置せず、ストレスと感じる事項(10項目)から3項目以内で選択する設問形式としており、1つでも選択した場合に、ストレスが「ある」に該当するものとしている。」とありました。

確かに、漠然と「強いストレスはありますか?」より「次のようなストレスはありますか?」と具体的な項目で聞かれると「ある」と答える人が多くなるのはわかる気はします。具体的なストレス項目(10項目)の傾向は前回とほとんど変わっていないところを見ると、単純に30%近く割合が増えたとはつながらないと思いました。逆にストレスを感じていない労働者の割合も同じように、減少していると単純に受け止めてはいけないとも思いました。

実際、厚労省に問い合わせてみましたところ、特に今回設問を変更した大きな理由はないそうで、私が感じた上記の内容を確認した所、その捉え方でいいとのことでした。また、今後も今の所、今回と同じ設問形式で継続して行っていく予定とのことでした。

いずれにしても、私としては現場では10項目以外にもさまざまなストレス要因があると思っていますので、企業としての労働者へのストレス対応は今後も必要であると思います。