義務化されるストレスチェックについて(3回目)

職場環境改善というが、どう改善するのか?

ストレスチェック制度の趣旨目的の中に、職場環境の改善等により心理的負担を軽減させることが挙げられています。でも、義務ばかりでインセンティブがないと、ストレスチェック自体がおざなりになってしまい、その意義はだんだん薄まるのではと懸念します。

厚生労働省が推奨する職業性ストレス簡易調査票(質問数57問)に基づくソフトウェアーの中身を見ると、職場環境を判定するために上司と同僚の支援、仕事のコントロー ルと量的負担の2種類のグラフを出しそれぞれの交点から、総合健康リスクを導き出しています。これはこれで良く出来たテストだと思います。ただ、大元の質問では結果を聞いているので、そもそもその原因がわからない傾向があります(質問例、一生懸命働かなければならない、上司とどのくらい気軽に話ができますか?等)。問題は原因がわからないと、どうしたら改善できるかの方法も導けないことです。つまり、職場改善を命ぜられた管理職は原因がわからず困ってしまうということです。なので、職場改善には、別の機会に原因分析が必要だと思われます。個人のストレスを取り除くためだけでなく職場にあった仕事に役立つ環境改善を考えたいものです。

管理職への負担

管理職は組織のことだけでなくプレイヤーとしての役割負荷もかかっています。その上職場環境改善やメンタル不調者対応となれば、疲弊するのは目に見えています。管理職をケアするために企業としてどうしていくのか、あるいは国としてこういう改善例がある等事例やツール等を提供していかないといけないと思います。

ストレスチェック義務化には良い点もいっぱいありますが、問題が全て解決されるわけでは在りません。例えば個人が回答を選べる形式であるストレスチェックが固定化されて同じものが毎年行われることは、長期的な効果に疑問が生じますし、そもそもストレスチェックのコストを企業がどう吸収するかというテーゼには何ら答えていません。いずれにしてもこれらの欠点をどう補うかによって、ストレスチェックが効果的に機能すると思います。