企業訪問による健康管理を行っていると、体の疾病を抱えながら働いている人が意外と多いのです。しかも、企業がこれらの人をどう扱ったらいいかわからないでいて、とりあえず私と相談してってケースがほとんどです。
病気もガンであるケースが多く、余命10年と言われたりしているので、当然配慮すれば就労できます。 2016年2月に厚生労働省が「事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」を発表いたしました。これによるとがんの5年生存率は年々上がり平成15年から17年では58.6%、仕事を持ちながらがんで通院している人は32.5万人と推計されます。
がんと診断された人の中には、精神的な動揺や不安から退職を選択するケースもあるし、がんの診断が主要因となってメンタルヘルス不調に陥る場合もあるため、適切な配慮が望ましいのです。では企業側ではどのような就業上の配慮をすればよいでしょうか。(労働者本人から支援を求める申出があり、主治医、産業医等関係者全てが協力的だと仮定)
まず、大きな問題として社内ルールがあげられます。その中でも、休暇制度は日数単位で採られているので短時間の治療が定期的に繰り返される場合などに対応するため、時間単位の休暇制度を検討する必要があるでしょう。また、時差出勤制度、短時間勤務制度や、在宅勤務などの考慮すべきです。とは言え、これらはすべて法の最低基準を超えた措置ですので、その点は労使間で話し合いが必要です。
疾病に対する治療はケースによって違うので、そのことを踏まえ企業としての多くの人の共通項を踏まえた取り組みが今後とも必要です。厚生労働省は、今後、このガイドラインの普及や企業に対する各種支援によって、疾病を抱える方々が治療と職業生活が両立できるような環境整備に取り組んでいくとしています。