iPadと視覚障害

目が見えなくなった人は、実は味が判らないんです。眼科医がこの事を教えてくれ、衝撃を受けました。口に入ってくるものを見ずに食する、どんな味か姿で想像または記憶してその観が大きいのです。我々は記憶を食しているのです。そう目医者は続けました。その人は代々医者の外科医の家系だったのそうですが、手が震えるので断念した事を明かしました。眼科医で産業医をやっているそうです。珍しい取り合わせですが、その人は働く人を応援したいのだそうです。最近の技術、特に廉価で普及しているiPadの技術で目が見えない人を助けることをボランテイアで手がけてもいます。頭が下がります。

意外に重いiPadに固定台をつけ、拡大する機能を利用しています。人間、即物的なのか、その機能を利用している患者さんは最初に拡大された食べ物を見て食べる事をしたそうです。「おいしかった」久しぶりにちゃんとモノを見て食べたよって言ったそうです。こうやって、目の不自由な方の認識がだんだん変わります。最近では、その方は海外旅行に行くのが夢だそうです。目が見えないのならどこに行っても一緒だって思ってしまいますよね。でも、視覚障害者に言わせると、臭いが違うのだそうです。

お札をiPadに見せて、幾らのお札ですってしゃべらせる機能、それがiPadには付いています。本だって、文字認識で音声になります。それを読ませれば良いのです。色網とか簡単にシミュレーションできます。今の技術は機能を補完してくれます。

ところで最近大きな誤解があるのはIPS技術。弱視の治療を受けても決して視力0.1以上回復しないそうです。要は見えない人を治療するのであって、視力0.1が1.5になるってことではないそうです。

企業にとって障害で最も雇いたくない人は精神障害ではなく、視覚障害ですよってその眼科医は教えてくれました。だから、そういう人は技術で補ってあげることによって、社会生活や、かえって健常者の認識がより広がるのではないでしょうか。障害者雇用の新しい波がこようとしている。私は、とてつもなく感動している。